会計

2009年5月 7日 (木)

会計が世界を変えるとき

会計の世界では、売上計上基準は「実現」していることです。

ここで「実現」とは、ものやサービスの引渡しがあり、それに対してお金を受け取ることをいいます。それが現在の収益の計上基準の基本で、会計学で「実現主義」といいます。

多様なビジネスモデルの中で、売上計上基準を決めるのは、そう単純なことではありません。

特にビジネスモデルが新しく、世間にまだ知られていないような場合、ものを引き渡し、お金を受け取った時点で売上計上としていいものかどうか、会計上、判断が難しいことがあります。

例えば、インターネットの多様なサービスの中で、仮想世界で、仮想通貨やポイントを流通させるような場合に、現実の通貨で仮想通貨を購入した場合、その時点で、売上を計上できるのか(仮想通貨では、まだ、何も購入していない)などです。

実務上、仮想通貨を購入した時点で、売上を計上するケースが多いようですが、これで問題ないでしょうか?

「引渡し」とはどういうことなのか、ビジネスごとにその取引の本質を検討しなければなりません。また、ビジネスの成熟に伴って、「引渡し」の時点が異なってくることもあるのです。

ビジネスは生き物ですから、初めに決めた基準がいつまでも完璧なわけではありません。前提が異なれば、柔軟に変えていかなければならないのです。

ところが、それを怠っていたがために、実態と合わなくなった基準に則った売上をひたすら拡大しようとし、破綻への途を進んでしまった企業も実際にあるのです。

先の例で言えば、仮想通貨を売ることに熱中し、その仮想通貨を実際に使うサービスが未熟で、仮想通貨が利用されず、クレームとなり、信用を失い、破綻するようなケースもありました。

株主のため、株価を上げたいがため、会社は売上増加を志向し、営業戦略を立てます。

売上計上基準が営業戦略に与える影響は大きいということになります。

ということは、売上計上基準が営業戦略そのものをゆがめてしまうこともありえるのです。

このビジネスにとって実態の売上とは何なのか、将来の見通しをも含め、慎重に扱うことが必要なのは、そのためなのです。

会計は決して裏方ではなく、過去数値だけの意味を持つものではなく、会社の経営戦略をも変えてしまう、責任が重いものだと、つくづく思います。

もし、売上計上基準が、お金を受け取ることだけでなく、人の幸せを増やすことだったら…?

そんな“幸せ会計”というものがあったら、たぶん、企業の至上命題は幸せを増やすことになる。

経営戦略はいかに世の中を幸せにするかに尽き、企業行動も確実に変わっていくのでしょう。

会計は世界を変える力を持っているのだろうと思います。

| | コメント (2)